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12.2

 稽古場はいろいろです。まして伝統芸能という場は、いままでのさまざまな経験、知恵、技術、感性などが寄り集まっています。
 それぞれの人がそれぞれの蓄積がありますので有難い反面、船頭多くしてにならないとも限りません。

 特に「演出家」という立場は、従来の古典にはない概念ですから、とかく演技指導に間違われがちです。ましてや今回の「加賀見山」のような古典ですと、なぜ演出家が必要かという根源的疑問を持つ方が世の中には多いと思います。

 上演前なのであまり手の内はあかせませんが、古典では当たり前になってしまっていても普通に考えたらおかしいという事がたくさんあります。それらはさまざまな仕勝手が積み重なってなんとなく不感症になったようなものです。
 そんな部分を洗い出してシェイプアップするのも演出の仕事のほんの一つですが、それすら厚く堅い壁に遮られることは日常茶飯事です。

 「相棒」見てると、杉下右京さんがタブーに挑む姿に勇気づけられたりします(笑)「一つだけ」「細かい事が気になるんですよね、悪い癖です」まさに私がいま仕事でやっているのはそれに近い!?今までどうして気にならなかったか不思議でならない事ーーー

 歌舞伎も踊りも本来は荒唐無稽ではありません。長年の間にそうなってしまっただけ。リアリティが積み重なってある時点にポーンとワープするだけ。そのワープする踏切板が時折、現代人には理解できずに荒唐無稽と思われるだけです。これはわかるようにほどかねばなりません。それと前述の仕勝手による不感症とは全く別問題です。ここははっきり峻別しなければいけない処ですが、こんな理屈ばった話はこの世界に住み慣れた方々には敬遠されがちです。
 
 ホントは聞いてさえくれるなら一週間くらいみっちりと語りあいたいところです(笑)ああ、私もまだまだ青いですね。
by nihon_buyou | 2009-12-03 06:33 | 伝統芸能・日本舞踊・能狂言
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